安全衛生マガジン9月号

.【日々安全】

【継続的な安全衛生教育とトレーニング】

 教育訓練は、人をあるべき姿に変化させることを目的に意識的に働きかける
取り組みであり、企業の人材を育てる重要な安全文化要素です。特に、作業現場で
働く監督者や従業員に対しては、心と身体の両面働きかけて知識を増やし、技能を
身につけさせ、正しく行動する態度をしつけることによって、その人の日常の安全な
行動力や正しい作業の実行力を高めていく必要があります。

 しかし、知識教育を行い、技能訓練で正しい作業技能を身につけさせても、必ず
しも習ったことを正しく実践してくれるとは限らず、ここに教育訓練の難しさが
あるのです。

 教えられた知識の活用、体験して身につけた技能を実践してもらうためには、
ライン管理者の積極的な関与の下で、現場を預かる監督者が親身になって継続的に
OJT(On-The-Job Training)を実践することが不可欠です。このOJTを通じた
態度教育によって、正しい作業の大切さが「腹落ち」するようになり、教育対象者が
望ましい方向に変わっていくことが確認できるようになります。

教育訓練には。なんのために行うのかという、明確な目的が必須要件

① 知識教育

  • 取扱う機械、設備の構造、性能の概念形成を図る
  • 災害発生の原理を理解させる。
  • 安全衛生に関する法規、規程、基準を教える。
  • 作業に必要な心身機能の働きを教える。

② 技能教育

  • 作業の基礎となる技能・技術を習得させる。
  • 前記の基礎技能・技術を踏まえて、応用技術を習得させる。

③ 態度教育

  • 安全衛生作業に対する心構え・身構えを教える。
  • 職場規律、安全規律を身につけさせる。
  • 意欲づけ、やる気を起こさせる。

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 すなわち、教育訓練は、人が習得した知識や身につけた技能を職場や
現場で「人が見ていなくても実践」してくれるようになって初めて成果が
あったといえるのです。これが人を育てるということです。

上図の様に、人をあるべき姿に変化させる取り組みにおいては、知識教育は
比較的容易に進みますが、技能教育から態度教育へと進む過程は時間を要する
とともに、困難が伴いますのでライン管理者の積極的な関与(バックアップ)が
必要です。

以下略

以上出典:「創り育てる安全文化」
 西坂 明比古著(中央労働災害防止協会刊)より抜粋

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以下参考資料(峰作成資料)

最初に一番大事なのは、「教育の原則」・・必要性・必要点の明確化と
目的・目標の明確化である。ここが把握できていないと、まったく効果のない
(やらなかったと同等)ものになる。

 教育は問題点(ギャップ)解決のための手段である。

2.【日々健康】

【全国労働衛生週間の歴史と意義】

 全国労働衛生週間は毎年9月を準備月間、10月1日~7日を本週間として開催されて
います。昭和25年に始まったこの全国的活動の目的は「労働者の健康管理や職場環境の
改善など、労働衛生に関する国民の意識を高め、職場での自主的な活動を促して労働者の
健康を確保する」
ことです。

 

 令和7年度は第76回の開催となり、「ワーク・ライフ・バランスに意識を向けて、
ストレスチェックで健康職場」
をスローガンとして、全国展開されます。

 多種多様な価値観と働き方思考の変化、少子高齢化社会、労働環境の変化に伴い、高齢者や

海外からの労働者の増加による安全管理はもちろんですが、労働衛生管理・健康管理等における
各事業者、事業所におけるそれぞれの環境に応じた自主的活動が求められています。
決して、「労働安全衛生法」や「労働基準法」等の法令や規則等がリアルな現状に追いつくことは
不可能ですし、法令で画一的にすべからく規制することは技術革新、労働人口の変化、多様性の変化に
即して矛盾することになります。

 労働安全管理と同様に労働衛生管理・健康管理は各職場・各事業所・各事業者にてその組織を構成する
全ての関係者(経営者・管理者・監督者・労働者)が一体となって、自主的に継続的に定期的に進めなければ
なりません。

 人間は現状の環境に慣れて順応していきます。衛生環境、作業環境、更に言えば労働条件、人間関係も
含めた現状を当たり前として、なんの疑問も持たなくなり、やがて身体だけではなく、精神・心理も中毒を
起こして最悪の方向へと(不知にて不治の病そして、人生の淵に)追い込まれるのです。

 この機会にもう一度職場の環境を見直し、本当に必要な改善は何かということをそれぞれの職場で追求、

問題点の発掘、対策について優先順位を決めて、可能なこと(継続的・定期的に)を最大限に実施されて頂ければ
と思います。

 もう、昭和の時代でも、平成の時代でもありません。 過去の価値観に基づくのではなく令和の時代にふさわしい
労働衛生管理・健康管理を目指しましょう。

3.【日々生活】

【人手不足とマネジメント】

「人口推移と労働災害」

 はじめに、労働災害の発生は、1980年からの40年間で概ね3分の1にまで
大幅に減少しました。ところが、近年ではその減少率が著しく鈍化し、死傷災害は
増加する傾向もみられます。これに人口の推移を重ねると、対照的な印象を受けます。

 これまでKYやヒヤリハットなどの作業者の気づきをベースとした、
「現場の安全衛生活動」は、一定の成果を上げてきたことは、間違いありません。

 しかし、就労の形態の変化によって、これまでと同じ考え方や手法が、これからも
通用するのかについては、かなり疑問があります。

 まず、情報の入り口を作業者の気づきに頼ることは、個人の知識や経験に大きく
依存します。ある意味、気づきの達人(安全の達人)を育てる必要があるわけです。

 事業の本務に関しては、あらゆる業種や業態で、職人や達人といわれる。それに
精通した人がおられます。一方、職人や達人と言われるまでになるには、「最低〇〇年
かかる」ともいわれます。

 人口減少社会に転じ、人材確保が困難となったこの時代に、気の遠くなるほどの
年月をかけて、事業場として行うべき調査の手法を、気づきの達人を育てることことに
よって達成することが可能でしょうか。

 また、異業種からの転職者、短時間労働者、高年齢労働者、外国人労働者など、
価値観や文化が異なる中で、これまでの「あうんの呼吸」がこれからも成立するのでしょうか。

 ベテランの安全衛生担当者の中には「安全成績の悪い職場は、雰囲気でわかる」という
意見もあります。仮に、その見立てが正しかったとしても、安全は、誰かに見てもらう
ものではなく、組織全体で創り上げるという視点に矛盾します。

 また、その様な感性を持った人材を、組織の中にどれだけ育成することができるのか、
少なくとも筆者は、それに対する解を持ち合わせた人と出会ったことがありません。

 「コントロールからマネジメントへ」

 個人の気づきが情報の入り口である、KY活動、ヒヤリハット活動、改善提案活動、
安全パトロール活動とリスクアセスメント活動における「危険源」の特定手法の違いは、

「見つけた」が「化学的に調べた」に置き換わるだけです。それ以外の実際に行われる
内容を個別に比較すると、これまでに行ってきた内容と違いが認められないものが大半を
占めます。

 だから、多くの場合に「何が違うのか?」という疑問を生み、長年にわたり安全衛生を
担当されたベテランの方々は「自分たちのやってきたことだ」と思うのでしょう。

 なぜ、このような誤解につながるのかを追求すると、コントロールとマネジメントの違い
が理解されていない
ことにたどり着きます。

 コントロールとマネジメントの大きな違いは、見ている次元(立ち位置)の違いにあります。

 これまでの安全は、作業者の気づきをベースとして、問題点を是正するという方策、つまり
「見つけた危険をなくす」という考え方に立脚しています。このように「ことを正す」方策の
ことを「コントロール」といいます。

 一方、リスクアセスメントは、安全の原則に立ち返り、危険源と作業の関わりを、組織として
科学的に調査
し、マネジメントに結び付ける目的で行います。

「マネジメント」には「正しいことをする」という意味があります。

 コントロールでは、個々の問題解決はできたとしても、全体を見渡して課題とすることには
繋がりにくい側面があります。ある作業に対して有効な対策であっても、他作業の際には役に
立てない場合や、邪魔になって無効化されやすいなどはコントロールの典型でしょう。

「マネジメントは全体を見渡して」

 意思決定をする前に、一定の方法で事実を集約する必要があり、そのためのツールが
リスクアセスメントである
ということです。

 そもそも、危険源と作業の関りが整理できていないのに、「正しいこと」(マネジメント)の
判断もできません。

 コントロールの立ち位置にいつまで立っていても、やがてマネジメントになることはありません。

 同様に、KYに点数をつけても、やがてリスクアセスメントになることもありません。

 皆さんの事業場の「現在のやり方」を「現在の考えた方」へと、しっかりと見直しましょう。

以上

出典:「安全はマネジメント~リスクアセスメントの活かし方~」
 濱田 勉著 労働調査会刊より抜粋一部編集

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