安全衛生マガジン2025年1月号

新年あけましておめでとうございます。
令和7年の巳年のこの年、白蛇の余喜溢れる日々になります様
心より祈念致します。
1.【日々安全】
【災害発生のシナリオの理解~管理監督者、安全衛生スタッフは完全理解が必須】
何事もそうですが、労働災害発生においてもその発生に至るシナリオが必ず
あります。
管理監督者はじめ、安全衛生スタッフはこのシナリオについて理解していなければ、
科学的にリスクアセスメントを実践するのは不可能であり、根本的な労働災害防止対策は
できないものと心得て頂きたいと思います。
下記の図は、労働災害発生に至るシナリオを表し、また、各段階における対策の
順位付けと主な手順を記載しています。 下図に示すように対策はシナリオの上流で
実施するのが一番有効です。
【災害発生のシナリオと災害防止手順】

上図に示す語意の説明
- 危険源・・危険又は有害物・・事故や災害を起こす源
- 危険源と「人」が交差した時(人が危険源の影響を受けている時)、
- 「危険状態」となります。
例えば、脚立の上で作業している状態は、人が高さという危険源の影響を受け
(晒され)、墜落する可能性が生じている危険状態に該当します。
この危険状態という語句は誤解されるケースも少なくありません。
例えば「危険状態」と説明しているのに受け取る側が「危険な状態」と途中に「な」を
入れて捉えてしまい、結果、「いかにも事故が起きそうな状態」のように理解されて
しまうという具合です。 階段の昇降では、高さという危険源に関わっていますが、
ほとんどの場合は何事もなく別の階へと移動しています。
危険状態であるときに何らかの「きっかけ」が発生すると発生のシナリオに沿って
危害発生の方向へと移行し始めます。例えば階段昇降時に「つまずき」などの
「きっかけ」が加わると、転落という現象に向かいます。
この「つまずき」など危険状態から危害へ向かうきっかけのことを - 「危険事象」といいます。危険事象を認知すると人は
- 「回避」の行動を起こします。もちろんあまりに突然すぎれば、回避行動を起こすことが
できません。
回避のタイミングでは「成功」と「失敗」に分岐されます。
例えば階段昇降中であれば、
- 手すりにつかまって事なきを得れば回避「成功」
- つかまる手すりが無かったり、手すりをつかんだもの、持ちこたえることが
できなければ階段を転落してしまい、回避「失敗」して - 「危害」を受け「危害発生」と至るのです。
この一連のシナリオが災害発生のシナリオです。
さて、「ヒヤリハット」報告はこの回避の段階で運よく「回避成功」した結果の報告だと
いうことです。
回避失敗したのであれば「ヒヤリハット報告」そのものを提出できなかったのですから・・
だからこそ、「ヒヤリハット報告」を大切な情報源として活かすことが重要なのです。
管理監督者及び安全衛生スタッフの皆さんは必ずこの災害発生のシナリオを確実に
理解してください。
以上
2.【日々健康】
【働く人の心の健康法】
経営者、管理監督者や衛生管理スタッフが社員の心の健康づくりを進めるうえで
望ましい方策について、職場メンタルヘルスケアの臨床事例を基礎としていくつかの
考察を述べます。
第一は、本人が担当する職務を十分にマスターさせることです。
いくら社会人(企業人)としての生き方や人生論を読ませたとしても、また自立訓練法を
習得したり、ヨーガや禅等の修養会に入らせたりしたとしても、本人が職務をマスターして
いなければ、当然心は不安定になります。例えば中高年に新しいIT機器を習得させる場合、
若い者よりも時間のかかる者もいるだろうが、研修時間を少し長くするとか、適当な指導者を
付けるなどして、十分にマスターさせる配慮が望まれます。
また、所属長や管理監督者に昇任させた者の実務研修を十分にする配慮も、本人にとっても、
企業にとってもメリットが大きいと思います。 ともかく職務を十分にマスターさせることが
個人の精神安定させる基礎になります。その結果自分の仕事に“はり”を持つようになるでしょうし、
後輩への助言や職場の雰囲気を良くしようとする心の“ゆとり”を持つことにつながることに
なるでしょう。
第二は、職場の人間関係を大切にすることです。
少なくとも出社時や退社時には「おはよう」「さようなら」とお互いに大きな声をかけあうような
指導が望まれます。
また、若者は職場の上司と仕事を話題にして、酒を呑むのを嫌がる傾向がありますから、話題を
十分に配慮すべきです。人間として酒を呑みかわす「ノミニケーション」はメンタルヘルス面で
大きな効果があり、相互の信頼関係の基盤になることもあります。なお、企業団地、工場団地で
マイカー通勤者が多く、終業後に「ちょっと一杯」ができない職場では、人間関係がギスギスする
傾向があるようです。
可能な範囲で「コミュニケーション」や「ノミニケーション」などの機会を設けることが
必要でしょう。ただし、絶対に押し付けてはいけません、その様なことが自然体で受け入れられる
管理監督者を普段から目指し行動してください。
第三は、趣味的なことやクラブ活動を奨励し、「本人に合った」気分転換法やストレス発散法を
若い時から体得させることです。
若い人の中にも、仕事人間で有給休暇を取らない人が少しはいます。このタイプの人には、
無理にでも休暇を取らせて、できれば、同じ職場の者と共にできる趣味や運動をさせ、気分転換・
ストレス発散法を習得させるに指導することは、将来的に本人や会社にとってプラスになるでしょう。
第四は、家庭、ことに配偶者とのコミュニケーションを良くさせることです。
毎年増え続ける離婚を防ぐためにも。。
配偶者との人間的な相互理解が確立していれば、本人が心の病気に、その多くは立ち直り得る
というのが臨床経験の事実です。また、家族一人ひとり精神安定は、本人の心の健康を支える原動力に
なります。なお、特に仕事がない場合、管理監督者が定時に帰宅すると、部下も早く帰宅でき、
その家族を含めメンタルヘルス面でプラスになることでしょう。
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出典「これからの職場のメンタルヘルス」藤井和久著 創元社刊より 一部抜粋、編集
3.【日々生活】
【死よりも、人生について考えよう】
「よい死を迎えるよりも、良い人生を過ごす」
「いつか、私が死の床で人生を振り返ったら・・・」
こういうセリフはあなたもどこかで耳にしたことがあるでしょう。なんだか
崇高な思索のように思えますが、そこに思いを巡らせてみても、実はほとんど
意味がありません。
まず、死の床にあって、そこまで意識がはっきりしている人はまずいません。
三大死因は、「心筋梗塞」と「脳卒中」と「癌」だが、最初の二つの場合、死の
直前に哲学的な思いを巡らす時間はありません。癌の場合も、ほとんどの人が多量の
鎮痛剤を投与されているため、はっきりとものを考えるのは難しい。
そして死の床にある人がアルツハイマーのような認知症を患っている場合も、やはり
人生を振り返る何かに思いを走るのは不可能です。
「ピーク・エンドの法則」は人生においても作用します。驚いたことにピークを
過ぎたとはいえ快適に過ごした最後の五年間は考慮されないのです。
研究者たちはこの結果に「ジェームス・ディーン効果」という気の利いた名前をつけて
います。
ジェームス・ディーンは、俳優としての輝かしいキャリアのピークに二四歳の若さで事故に
あって亡くなりました。彼がその後何年も、あるいは、何十年も、それなりに幸せな俳優として
生きていたなら、彼の人生がこれほどまでに人々の目に魅力的に映っていなかったのは
確実でしょう。
「「加齢」と「死」は、良い人生の代価である。」
まとめると、ある人生が魅力のある人生かどうか、私達にはきちんと判断できません。
脳が事実を客観的に判断できないからです。 あなたの人生がジェームス・ディーンのように
ピークで終わりを迎える可能性はかなり低いのです。
多くの人は、長い年月をかけて、体力や精神力が段々衰えた後に死を迎えます。そして、
身体機能の衰えが大きければ、大きいほど、完全な健康体だったそれまでの数十年よりも日々
感じる幸福度は低くなります。
では、私たちは「死」とどう向き合えばいいのでしょう。
気を付けなければならないのは、人生最後の衰えた時期だけで、あなたの人生を評価しては
いけなということです。ひどい人生を送った後に後に理想的な死を迎えるよりも、より良い人生を
人生を送った後に死の床で辛い数日を過ごす方がずっといい。
「加齢」と「死」は、私たちがよい人生を過ごせたことに対する代価だと思えばいい。
結論として、「どれだけ長生きできるか」を競うのではなく、「良い人生を過ごす方が、
よい死を迎えるよりずっと大事」だということです。
良い人生を送るにはどうしたらよいかにフォーカスを充てることに価値があり、死のことを
考えるのは意味がないのです。
~以下略~
“Think clearly” The Good Life 52 Surprising Shortcuts to Happiness By Rolf Dobelli
サンマーク出版より抜粋、意訳編集
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「職長教育・安全衛生責任者教育」・・1月16日(木)、17日(金)
詳細は久留米労働基準協会にお尋ねください。(TEL:0942-34-5531)

